クラブ社長ご挨拶

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社長ご挨拶

ワールドカップを終えて

 いつもジュビロ磐田へご声援をいただきましてありがとうございます。ワールドカップ中断後、ジュビロ磐田は怪我人も多くなかなか勝ち点に恵まれず苦戦を強いられていますが、選手たちの試合にかける思いは強く感じられます。そこには非常に盛り上がった今回のワールドカップが少なからず影響しているように感じられます。

 私は今回、南アフリカワールドカップを視察してきました。日本の試合はカメルーン戦とオランダ戦の2試合、その他アルゼンチン対ナイジェリア、ブラジル対北朝鮮、アルゼンチン対韓国と、アジア出場3チームを視察しました。視察の中、強く印象に残っていることは、スタジアム全体がまさにお祭りであったということです。各国の応援コスチュームに身を包んだ観客が、本当に大勢スタジアム周辺に集まって非日常の空間を作り上げていました。例えば日本とオランダとの一戦の日。通常Jリーグで目にする光景であればユニフォームカラーのブルーとオレンジの2色のみで構成されるはずのスタンドも、ワールドカップでは同じチームを応援していながらも皆同じ格好ということがありません。思い思いのスタイルで、一人ひとりが本当にワールドカップを楽しんでいる姿を目の当たりにしました。本来のサッカー文化の一端に触れることができたような気がします。

 ところで、今回訪れた中で最も印象に残ったスタジアムは、ダーバンのモーゼス・マビダスタジアムでした。とても開放的かつ近代的なスタジアムであることは言うまでもなく、一番驚いたことは、観客の入口がピッチレベルにあり、スタンドへのアプローチにおいて観客も選手と同じ目線を体験できることでした。それにより観客は試合前にワクワク感、ドキドキ感が高まります。私自身がそ うでした。こうしたハード面での演出は素晴らしいと感じました。

 私は、試合観戦というものはスタジアムに到着してから帰途につくまで、スタジアムにいる時間すべてが含まれると思います。ダーバンではそれらすべてが高いレベルで実現していました。ダーバ ンでは基本的なアプローチの中にも、あちこちに観客への試合への期待感を抱かせる演出がなされていました。非常に感心すると同時に、こうした演出を私たちのスタジアムでも実現できないかという想いを抱きました。残念ながら現時点での私たちのスタジアムを考えてみると、そうした点においてはまだまだといわざるをえません。しかし一方で、今回さまざまなスタジアムを視察する中で、私はヤマハスタジアムの魅力を再確認することも出来ました。私たちのスタジアムは、規模は小さいけれど、それゆえピッチとスタンドが近く選手と観客が一体感を得られます。これは世界でもあまり例がなく、非常に魅力的なことだと思います。

このヤマハスタジアムが持つアドバンテージを有効に活用し、私がダーバンのスタジアムで感じたワクワク、ドキドキ感と同様の期待感を、ヤマハスタジアムでも演出できないだろうか、観客席へのアプローチの段階で、ヤマハスタジアムならではの演出が出来ないだろうか、そう考えています。スタジアムの規模こそ違うものの、試合への期待感を高める仕掛けも含め、スタジアムでの演出をもっともっと改善していく余地は十分にあるし、決して不可能ではないと思っています。例えば、今回訪れた5会場ともパーク&ライドやパーク&ウォークがなされていましたが、スムースな導線が確保され、ストレスなく安全に観客席まで行くことができます。このストレスなく観客席に座れるということひとつとっても非常に大切なことですし、こうしたトータルの意味でのお客様の目線に立ったスタジアムを作り上げていく必要を強く感じています。

 さて、サッカーそのものについても少しふれておきたいと思います。南アフリカのピッチでは連日非常に熱い戦いが繰り広げられていました。中でも日本代表は、大会前の危機感や我慢をチームが共有し乗り越えてみせた戦いぶりは、試合を見たすべての人々に想像以上の大きな感動を与えたと思います。プレー技術や勝敗もさることながら、最後まで走り続ける姿やチームが円陣を組む姿、チームメイトに駆け寄り喜びを爆発させる姿、また共に涙ぐむ姿、そうしたチーム一丸となった結束力を感じるシーンが特に素晴らしかったと思います。

 ジュビロでいえば4試合にフル出場した駒野選手と、試合出場こそなかったものの常にチームを支えていた川口選手。特に駒野選手は最後に非常に悔しい結果がありましたが、今は事実を受け止めそれを乗り越えていこうとする次の段階に進んでいます。どんな人でも人生において1度や2度の挫折はあることでしょう。そうした岐路をどう生きるか、次への姿勢が大切なことを見せてもらえたと思い、非常に嬉しく思います。きっとサッカーに興味のなかった人たちも、「何か私も頑張ろう、やってみよう」と前向きな力がもらえたと感じます。

 先に言いましたが、選手たちもチームのために全力で勝利することの素晴らしさを再認識していると感じます。これがきっかけとなり、ファン・サポーターと選手、チーム、地域がもっと身近になるべく、私たちフロントも全力で、皆様との〝一体感〞をさらに演出できるように取り組んでいきたいと思います。これからもジュビロ磐田へ熱いご声援をよろしくお願いいたします。